古代への想い

中学1年の時に歴史の先生の勧めで、同級生4.5人と自転車で、当時まだ未整備だった高速道路の工事現場付近の田んぼにある石器時代の遺跡の表面採集を行った。
あちこちから土器、磨製石器、矢じりが大量に出てきてわたし達は興奮した。かくいうわたしも大きな磨製石器
を発見して、後日学校へ寄付した。
あんなに興奮して、酩酊感を感じたことはない。何千年、何万年前の作成したものが時を超えて自分の手の中にあるのが信じられなかった。
それまで石器や土器というものは懸命にに地面の中を掘り出し、ようよう発見するものというのが自分の発掘のイメージだった。しかるにその遺跡は水耕の田のあぜ道やそのあたりに無数の
破片となって存在し、そろこそ耕作中のおばあちゃんが土器や石器を踏みつけながらクワを担いで歩いている姿は少なからず幼いわたしの発掘イメージを毀損したが、とにかく古代への憧憬はわたしの心の中に芽生え、考古学者になって生活するという将来の夢も生まれたのだった。まさしく夢だったが。

kenji diary

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